プロの演者にお聞きする。パート3。

プロの演者の方にお聞きする。パート3。

質問、「着ぐるみの演者として、心掛けているようなことはありますか?」

「一人での活動という事がないので、体調管理や、時間の重視といった当たり前の事は勿論ですが、着ぐるみに関して言えば、普段の管理、メンテナンス等もなるべく人任せにしないで 自分で行うようにしています。」

「演じるという点については、基本的にセリフや声を出さない設定のものが多いので、少しオーバーアクションで、キャラクター設定に沿った役作りを心掛けています。」

「後は、安全第一で 着ぐるみの動きを制御しています。」

ありがとうございました。

或るテレビ舞台劇のリハーサルの合い間に、時間をいただきました。

他の方にもお話をお聞きしました。男性40代の方は、「体力勝負です。体調が悪いと 総てうまくいきません。」彼は同じ着ぐるみを着て、私が知る限りでも15年以上演じています。

皆さん、長いお付き合いなので、それぞれの方にあった細かな着ぐるみの作り込みをしたり、修正やメンテナンスに至るまで、色々とお世話になっています。また教わることも色々あります。

貴重なご意見 ありがとうございました。

プロの演者のお聞きする。パート2。

プロの演者にお聞きする。パート2です。

質問、「暑さ対策等は、どうしていますか?」

「基本的には、動きやすい服装で 薄着です。」

「上着は、薄手の長袖です。下はジャージです。」

袖が長袖なのは、汗が着ぐるみに付きにくくするのと、着ぐるみの裏生地と手が擦れ無いようにだそうです。

特に暑い折りは、首回りにタオルを巻いているそうです。

「今の一般の着ぐるみのように、電動ファンなどが付いてい無いものが多いので、出番が終わったらすぐに脱げるようにしておくことも大切です。」

「だいたい一回の出演は、20分以内に収めるようにしてもらっています。」

「後、水分補給は 早めに行うようにしています。」

「脱いだ後は、ADさんや係の方が すぐに汗を拭き取ったりして乾燥機で中を乾かしています。」

「私はあまり使いませんが、汗止めスプレーを使ったり、お化粧を控えたりすることもあります。」

「着る時よりも、脱ぐときの方が、乱雑になりがちなので、サポートの人共、落ち着いて脱ぐように心がけています。」

プロの演者にお聞きする。パート1。

着ぐるみのプロの演者の方に聞いてみました。パート1。

「着ぐるみを可愛くするコツはありますか?」

「着ぐるみのキャラクターにもよりますが、とにかく着ぐるみに成りきって演じます。」

「私は、舞台やテレビ劇が多く、かわいいキャラクターの着ぐるみが多いので、幾つかのの点に気を付けています。」

1、動作をオーバーにして、感情や 相手へのコンタクトを分かり易くする。

2、キャラクターに合わせた動きをとる。

「たとへば、返事をする時は 膝を曲げて少し斜めにする。」

「歩く時は、小刻みにちょこちょこ歩く。」

「手を振る時は、少し横に傾き なるべく手を上に向けて振る。」

3、常にお客様に顔を向けるようにする。

4、常に周りに神経を使い、人や物にぶつかったり、バランスを崩すアクシデントが無いようにする。

お聞きした演者の方は、女性でかなり小柄な30歳代の方でした。着ぐるみの演者のお仕事を、10年以上やられているとのことでした。

 

 

着ぐるみとお話し。

着ぐるみには、声が出るものと全く喋れないものと二通りのものがあります。

全く喋らないものは、身振り手振り、書き、などで、コンタクトをとります。

喋る場合は、操演者がマイク等を使って話す場合、遠隔から声を送る場合等、いろいろなバリエーションが考えられます。

舞台や、イベントの際は、声入れのプロがあたっていることもあります。

声出しのスピーカーも、着ぐるみに仕込むものもあれば、外部スピーカーで流すようなものもあります。

ただ、操演者が直接声を出してしまうと、キャラクターのイメージが損なってしまう場合もありますので、注意したいものです。

 

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腰につけた巾着に、スピーカーが仕込んであります。 外部、遠隔から声を入れています。

着ぐるみの暑さと湿度対策。

桜も満開で、昼間は少し汗ばむ陽気になってきました。

着ぐるみも、暑さは得意ではありません。特に湿度の高い折は、演者の方は 熱中症などに気をつけてください。着ぐるみは一度着ると 脱ぐ際も手間がかかるため飲み物を控えがちですが、夏や梅雨時の熱い折は、十分な水分を取ってください。

また、対策としては、頭部に電動ファンを取り付けたり、クールベストの着用が有効です。頭部は呼吸による湿度の上昇もあり、視界の塩ビが曇ったりすることもあります。塩ビ部分には、曇り止めの対策をお勧めします。

電動ファンは 主に、着ぐるみ頭部内の空気を喚起することが目的です。送風の機能は、携帯用の送風機をお勧めします。

着ぐるみフロッチ君 制作の流れ
電動ファンいろいろです。
着ぐるみアイテム
クールベストです。
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携帯用送風機です。

着ぐるみの重さ。

着ぐるみの重さは、近年とても軽くなっています。

当社も以前(十数年前)制作した着ぐるみがリメイクで帰ってくると、色々な部分で仕様の進歩が見られます。中でも頭部の重さは、発泡スチロール原型にコーティングをしボア張りをしたものに比べ、半分以下の重さになっていることがあります。発泡スチロールがホームエースに変わり、重さも軽くなり 内部の空間も随分と広くなっています。

頭部の素材が軽くなると、操演者の負担も軽減し 動きも軽やかに、長時間の活躍が期待できます。

また、着ぐるみ内部の補強や 肩ベルトなども、簡単なもので対応できるようになります。

着ぐるみの目の塩ビ。

着ぐるみの目の仕様に付いては、色々な素材が考えられますが、視界確保の条件がとても重要となります。

着ぐるみの目の仕様は、塩ビ板を加工して作る場合が多と思われます。塩ビ素材以外のものとしては、布メッシュ、スチィールメッシュ、等があります。

塩ビ以外のもので作る場合、通気を兼ねたり、目の色を重視する場合だったりすることが多いです。

塩ビ加工でも視界の透明性が確保できる程度のものでしたら、ある程度の色表現が可能です。

塩ビ加工の目の仕様の デメリットとしては、

1、湿度で内側が曇ることがあります。(電動ファン等の通気が必要)

2、傷が付いてしまうことがある。(使用時以外はカバー等の取り付けで防ぐ)

3、大きさや、中に明るい色味があったりすると、中の様子が透けて見えてしまうことがある。(操演者は黒めの服装をお願いします。黒の頭巾をかぶることもあります。)

透明性があり 艶のある球体加工の可能な塩ビは、目の仕様には適切だとは思えますが、着ぐるみのキャラクターによっては、他の素材も考慮の余地はあります。

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着ぐるみの手の動き

着ぐるみの手の動きには、その形状で大きく3通りに分けられます。

1、肩が出ているタイプ。頭部肩乗せタイプの着ぐるみの場合です。動かしやすく、形状も人型に近いので自然です。

2、肘から下を出すタイプ。頭部肩入れタイプの着ぐるみに多いです。基本的には手は使えます。肘から下だけしか出ていないので、動きが制約されます。指は、ミトン式でも5本指での問題ありません。ボディーの大きさによりますが、左右の手が繋げないこともあります。肘をわき腹に付けた状態で操演することになるので、窮屈な感じがあります。

3、操演者の手が届かないタイプ。操り棒などで動かします。指は使えません。頭部がとても大きい場合や、頭部とボディーが一体になっている着ぐるみに多いタイプです。

それぞれメリット、デメリットがありますが、キャラクターの性格にあった仕様の選択が大切となります。

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頭部顔出し式のタイプです。
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頭部肩乗せ。肩まで出ているタイプです。
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少し肩が頭部に入っていますが、肩から動かせるタイプです。
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肘から先を動かすタイプです。
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操り棒で動かすタイプです。
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操り棒で動かすタイプです。

着ぐるみの足の動き。

着ぐるみは、大きめの頭部だったり、厚いウレタンなどで作られた形状のため、なかなか快活に動き回ることは難しい場合が多いようです。

どうしても快活な動きを求める場合は、デザインの段階でキャラクター自体の形状や仕様から作っていく必要があります。(例えば、スポーツの応援キャラクターとか 舞台の演出上の性格であったりとか)

ただ、通常の着ぐるみでも ちょっとした仕様の違いで動き易さは随分と変わります。

例えば、足(靴)の大きさの違いであったり、(あまり大きくない方が歩き易い)

ボディーと足の仕様であったり(着ぐるみは、足が短く股下接合部分があるズボン状のものよりも、ボディーの下がバカ穴になっているものの方が動き易い)

原型の素材の仕様であったり、(ウレタンの厚みや質、厚めのウレタンや 硬質のものは動きが妨げられます。)

などの理由で、とても異なります。

どの程度の動きが必要で、どのような性格のキャラクターであるか、デザインの段階で明確にしておくことが大切です。

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細めの足で、動き易い。
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スカートものは、とても動き易く、楽です。
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足が動き易いように、下穴式にしたおかげで とても動き易いです。
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下穴式です。
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下穴式です。
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下穴式です。
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下穴式です。

 

桜の髪飾り

着ぐるみによく使われるモチィーフに、花があります。

着ぐるみ自体が、花をモチィーフにしたキャラクターであったり、付属品として花をつけたり、服や帽子などが花模様であったりします。

関東地区は、今 桜真っ盛りです。

今週末には、たくさんの方が 咲き誇る桜を愛でることでしょう。

桜で高揚した気分に、着ぐるみたち登場は、も一役買っているでしょうか。

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